順子さんは服を着てリビングのほうへ向かった。
僕は着替えなどできなくてそのまま布団に隠れていた。
しばらくして順子さんがクーロゼット開けて中を物色している。
『薫ちゃん、どれがいい。そのままだと風邪引くでしょ。』
『どれって言われても困るんですけど。』
『そうなの。じゃあ私が選んであげよっか。』
『すいません。お願いできますか。』
順子さんは玲子さんとは違ってすぐに洋服を取り出し僕に渡してくれた。
もちろんブラジャーも渡された。
僕は全部つけなくては順子さんに怒られると思ったので
出されたものをすべて身につけた。
花柄のワンピースと白のカーディガン、昨日のミニワンピもかわいいもの
だったが順子さんが選んだものも少女のようなかわいい洋服だった。
『薫ちゃん、あんた本当に男なの。』
『はぃ、一応そうですけど。』
『一応ね、薫ちゃん、おっぱい入れてないでしょ。』
『へぇ、あ、はぃ。』
そう言って順子さんは昨日玲子さんにブラのカップ入れられたシリコンの
パットを僕のブラの胸に入れてくれた。そしてウェッグもされてしまった。
『コーヒー入れたから薫ちゃんも飲んだら。』
『はぃ、ありがとうございます。』
『玲子も色々と買い揃えたもんね。』
『はぃ、助かります。』
『助かりますって、薫ちゃんうれしいの。』
『いえ、そういう意味じゃなくて。』
自分でもどういう意味なのか自分の言ったことが分からなかったが
助かりますって言えばこの女の子の部屋を気に入ったと取られても
おかしくはない。
『じゃあ、私そろそろ帰るから、あ、私がここに泊まったこと
二人には内緒よ。私と薫ちゃんだけの秘密だからね。』
『はぃ、絶対に言いません。』
そんなこと言えるわけがない。
玄関まで順子さんを送って行ったとき順子さんは別れ際に
僕にかるくキスをして何もなかったかのように部屋を後にした。
僕はしばらく玄関で呆然と立ったまま昨日とは全く違うやさしい
順子さんのことを考えていた。
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