歓迎会はその後も和やかなムード進んだ。
僕の心の中以外は。
それからも僕は玲子さんの飲む同じカクテルを注文されて
なんだか体が軽くなっている錯覚を起こしていた。
そんなにアルコールのきついものじゃなかったが初めて飲む
僕にはそれなりに効き始めていたのかもしれない。
玲子さんは携帯に着信がありしばらく席を外した。
僕は美里さんと順子さんがあるクライアントさんのことで話をして
いたのでわけもわからず聞いているだけだった。
ただ僕の話題からはなれていることには落ち着けた瞬間だった。
『美里さんすいません。ちょっと急用ができたんで私この辺で
お先に失礼したいんですけど。』
えぇ、玲子さんがこの場からいなくなれば僕はこの後どうすれば
いいんだ。
『あら、彼氏から、仕方ないわね。ここはいいから行ったげなさい。
久しぶりに会うんでしょ。』
『はい、すいません。』
『玲子、あんた薫ちゃんどうするのほっとく気。』
『あ、薫ちゃんごめんね。マンションまで帰り方わかるかな。』
『あ、それはなんとか。でも、』
『ほら、困ってるじゃない。』
『あ、なんとか帰れると思いますから。』
このあと一人にされるのも怖かった。
近くとはいえこの格好で夜道を歩くのは不安だった。
でも、玲子さんと一緒にいるのも今日は疲れていたし一人にも
なりたかった。
僕は一人になることを選択した。
『ホントごめんね。明日はちゃんと今日の続きするから。昼には帰れると
思うから。』
『玲子、お泊りするつもり。』
『たぶん今日は。』
『いいわ玲子ちゃんも久しぶりなんだし行ってきなさい。薫ちゃんも明日は
オフだし今日も疲れてるだろうし朝ぐらいゆっくりさせてあげたいし。』
『本当にすいません。薫ちゃんごめんね。』
『あ、はぃ。大丈夫だともいます。』
ようやく玲子さんは順子さんから解放されて店を出ていった。
その後は三人でしばらく話をしていた。
もちろん話題は僕の話に戻った。
別に僕のこれまでの生い立ちの話ではない。
女の子の洋服は着てみてどうだとか、お化粧した感想とか聞かれて
僕はそんなことまともには答えられず、照れているだけだった。
ただ玲子さんがいなくなってからの順子さんは意外とやさしく感じた。
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