そして玲子さんはもう1つメモを取り出した。
『じゃあ、後でお店に着いたらここに書いてあること美里さんと
順子さんに言ってね。これも一度読んでみてすぐ記憶できるから。』
そう言ってメモを渡された。今度は声に出して読むように言われた。
『はぃ、美里さん、順子さん、玲子さん今日は・・・・・薫のために
歓迎会をありがとうございます。とってもうれしいです。
薫は・・・・・立派なOLに・・・・・、かわいい女の子に・・・・・
なれるように頑張ります。これからはご指導よろしくお願いします。』
『うん。いいわ薫ちゃんらしくてかわいい。もう少し時間あるから
暗記しといてね。』
『はぃ、分かりました。』
こんなせりふ覚えることはいくらバカな僕でも容易いことだが
こんなのこと彼女たちの前で言わなくてはいけないこと、
それにこの格好で外に出ることを想像しただけで震えがとまらなかった。
『薫ちゃん、そろそろ行こうっか。』
『はぃ。』
『こっち来て。』
僕は玲子さんのいる玄関のほうへといった。
玲子さんは今から僕に履かせるのだろうロングのブーツを用意していた。
『薫ちゃん身長160センチぐらいでしょ、私とそんなに変わらないから
ヒールは5センチくらいのものにしてあるから。しんどいときは低いのに
したらいいからね。とりあえず今日はこのブーツにしようっか。』
『はぃ。』
先に進むのは嫌だったけど後戻りはできないように玲子さんに手を
打たれているので仕方なくブーツを履いた。
玲子さんはうすいピンク色のトレンチコート僕に着せバッグを
持つように言った。
玄関にある鏡に映る僕はどこにでもいるような女の子になっていた。
『じゃあ行こう。』
そう言って玲子さんは僕の手を取って玄関から表に引っ張り出した。
初めて履いたヒールのあるブーツに足下がふらふらとなり玲子さんに
しがみついってしまった。
『どうしたの、薫ちゃん。』
『すみません。うまく歩けなくて。』
『そうっか、初めてだし仕方ないわね。じゃあ私の腕につかまって。』
『はぃ。』
なんとも情けない姿だった。
しかし、玲子さんの腕にしがみついてないとよろけてこけそうになった。
とうとう僕は部屋を出され店に向かう道を歩き出していた。
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