下着からすべて女の子のものを身につけた僕の表情は
本当の女の子のように微笑んでいた。
でも、そんな時間は限られた一瞬の出来事なんだという
現実も僕に押し寄せてくる。
『あ、もうこんな時間、そろそろお母さん帰って来るかな。』
ヒロのそんな言葉は僕がセーラー服を脱がなければいけない
ことを意味していた。
『どうしたのアキ、そんな顔して。』
僕はセーラー服を脱がなければいけない、そんな思いが
さっきまでのうれしそうな表情を消し僕が男である現実すら
思い起こさせ浮かない表情に変わったのであろう。
『アキ、セーラー服まだ着てたいんだ。』
僕は何も言えずただコクリとうなずいた。
『いいわよ。まだ少しは時間あるから。もう少しセーラー服の
ままでいても。』
『ホント。』
そう言ってヒロはさっきまで僕の正面で座っていたクッションを
僕の座っていたクッションの横に並べて僕を座らせた。
僕とヒロに距離はなくべた付きながらさっきのファッション雑誌の
続きを見た。
あぐらをかいて座っていたさっきとは違い僕は自然に女の子の
ように座っていた。
『ねぇ、これってアキが着たら似合うんじゃない。
アキってこんな少女チックな乙女系が似合いそうね。』
『そうかな。』
『あ、こんな感じって絶対いいよ。』
僕は男であることを忘れていた。
ヒロとお互いに似合いそうな洋服を雑誌で見つけあっていた。
幼馴染のヒロとは時にじゃれあう事もあるけどこんなに
顔を寄せ合い話すことなど最近では考えられない。
お互いが異性と感じていた証拠だ。
でも、今女の子の様相と化してしまった僕はヒロにとって同性に
感じられたのかもしれない。
さっきヒロが僕が女の子だったら買い物などもっと楽しめるって
言ったことにはうなずける。
しかし、そんな楽しかった時間もとうとう終わりを迎えた。
僕は着ていたヒロのセーラー服を脱ぎ、初めてつけたブラジャーも
可愛い女の子のショーツも脱ぎ、元の男物の制服へと着替えた。
今の僕には絶望と言う言葉が一番良く似合っている。
『あら、アキちゃん来てたの。いつもごめんね。ヒロに振り回
されてるんでしょ。』
『おばさんこんにちわ。』
『お母さん、変な事言わないでね、アキだって結構
楽しんでるんだから、ねぇアキ。』
玄関でバッタリおばさんに出くわした。
楽しい一時だったがヒロには大きな弱点を捕まれたみたいに感じた。
やっぱり失敗だったか。
いつもの姿に戻った僕は冷静さを取り戻し少し後悔の気持ちがあった。
『じゃアキ、バイバイ、また明日ね。』
『うん、バイバイ、おばさんお休みなさい。』
こうして僕は本来の姿に戻ってしまった。
タグ : 女装 セーラー服 女子高生
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